「ただいま花枝。」
「あっ!お帰りなさい。」
帰ってきた千春さんからジャケットを受け取って、寝室に一緒に向かう。
「今日、黒木先生の所に行ってきたの?」
「うん。色々話聞いて貰ってきた。」
「納得出来た?」
ネクタイに手を掛けながら千春さんは私の様子を伺っている。
「千春さん、私に望むことがあったら、何でも言ってね?我慢したりしないでちゃんと言って!」
「どうしたの?急に。」
「ただ、生きているうちは後悔のない毎日を送りたいから、特に千春さんとの間では。」
「そう。………俺もその考えに賛成。」
そう言うと千春さんは、私のVネックのセーターの空いた胸元にキスをした。
「ちょっと!どこにキスしてんの?!」
「今、無償にそこにキスがしたくなったんだ。だから、後悔しないように実行しました。」
「もう~……………私だって引き下がんないんだから!!」
彼の胸を強めに押すと、予想外の反撃に千春さんは簡単にバランスを崩してベットに座り込んだ。
「花枝っ!!」
「私が主導権握るから、千春さん………覚悟してよ?」
「フフッ………上等だよ。」
私は倒れて仰向けの彼を押さえつけるように上から見下ろした。
「大好きだよ………千春。」
私の一言に、さっきまで余裕だった表情が一転して、嬉しそうな、堪らない笑顔になる。
「俺も…ずっと…一生…花枝が大好きだ。」
背中に伸びてきた腕にグッと抱き寄せられ、私達は二人でいられる幸せを噛み締めた。
自分だけの誰かが居てくれる幸せは、きっと当たり前だと思ってはいけないんだ。
それを白川部長は教えてくれた。



