それでもあなたと結婚したいです。


「これは私の勝手な推測だが、恐らく………未だに信じたくないんだ………家族を失ったことを。あいつの事だ、独身ともなれば周りが放っておかないだろ?だが当の本人は誰も受け入れる気がないからな。」


「そうだったんですか………。だから私にも話してくれなかったんですね………。」


「………でも、君には心を開いているような気がしたんだけどな。偶然にも名前がカエって言うんだろ?漢字はどう書くんだ?」


「簡単な方の花と枝で花枝です。」


「はぁ~……だからか、君が特別な理由は。」


赤坂部長は椅子の背もたれに寄り掛かり、深い息を吐き出した。


「どうゆうことですか?!」


「白川の奥さんは君と同じ漢字でハナエ、娘さんは華絵と書いてカエと読むんだ。君を家族に重ねて見ていたのかもしれないな………。」


赤坂部長から理由を聞いて、その後白川部長を捜しに行ったが、結局見つからなかった。

帰り道もずっと頭の中は白川部長の事を考えていた。

もし、自分が同じ立場だったら、千春さんが急に事故で死んでしまったらと、考えただけで涙が滲んで胸が苦しくなった。


「きっと私だったら耐えられない………。」


涙で歪む目を拭っている時だった。




「危ないっ!!」




叫び声と共に強く腕を引かれ、私は前に倒れ込んだ。


「痛っ………何?!」


倒れ込んだ先を見ると、白川部長が私を庇うようにして倒れていた。


「部長………?」


「何をやってるんだっ!!しっかり前を見ろっ!!」


目の前の信号を見ると、青だと思っていた信号がすっかり赤になっていた。