ポテトで汚れた指を舐めながらミレイは顔を上げた。


「あはは………確かに、そうだよね。」


「花枝ちゃん…どうかしたの?何か…元気ない。」


「…………………ちょっと、色々あって………。疲れてるのかも。」


「そう言えば、こんな時間にここにいて、旦那さんは大丈夫なの?バイトの件だって旦那さんの了解も無しで決めて平気?」


「…………旦那様は今日は仕事だし、平日は病院に行くから。」


「病院?どこか悪いの?」


「………………ミレイに話さないのはフェアじゃないよね…。」


「えっ………?」


私は千春さんの病の話と今の状況を全て話した。

時折、辛そうな表情を見せながら彼女は最後まで黙って聞いてくれた。


「花枝ちゃん…話してくれてありがとう。こうゆう話は他人に話すのに勇気いるから………。」


「………うん。」


「花枝ちゃんも辛かったね………。」


「えっ?」


「心に傷を持ってる人と一緒に居るのは苦しいことだよ?私も人を信じられるまで、辛く当たったりもして、散々迷惑かけたんだ。………だから分かるよ?」


自分が辛かったんだと初めて気づかされた気がした。

ずっと千春さんが一番だったから自分の事が見えてなかった。

自分が辛いんだと苦しんでいるんだと見ない振りをしていたのかも知れない。

そうでなくても次から次へと色んな事が起きて自分を振り返る余裕もなかった。

下を向いた私の瞳からはポロポロと涙が落ちていた。