私を思って、真弓の顔が悲しそうに歪む。
最近何度も見るデジャブ。
「花枝………これからどうするの?」
「…今は全然…分からない。ただ、独りの生活にも慣れてきてる。昔はこんなだったなぁって…。」
「それって…。」
「………何か最近ちょっとだけ思うの。千春さんには私が必要だったのかなって…。こんなに長い間、顔も見なくても平気なんだって思うと、何だか寂しくなっちゃって…。」
急に真弓が俯き出した。
「花枝…ごめん。」
「真弓?どうしたの?」
「私、実は泉さんにお願いしたの………。」
「えっ?どうゆう事?」
「泉さんの病が治らないなら…花枝を自由にして欲しいって…。」
「自由にしてって………」
「泉さんは、後一年くれって言ってたわ…。」
「後一年って………どうして…どうしてそんな事言ったのよっ!!誰も頼んでないっ!!」
ガヤガヤとうるさい店内に私の声が響いた。
コソコソと周りは私達を見て話し始めたけれど、私の耳には何も聞こえなかった。
「花枝………あんたが傷つくのを見たくなかったから……。」
「私はどんなに傷ついても傍にいたかったのっ!!勝手な事しないでよっ!!」
「………………………………。」
「真弓の所為で千春さんは会ってもくれない…どうしてよ………………。」
私はバックを引っ掴み居酒屋を後にした。
真弓が私の事を思って言ってくれたのは重々承知の上だった。
それでも我慢することが出来なかった。
ずっとずっと我慢してたことが一気に溢れ出たように真弓にぶつけてしまった。