気温も少し暑くなってきた初夏の頃。

仕事も早々に終わった日には飲みに行くのが日課になっていた。


「あっ!真弓~!お待たせ!!」


「おー!待った、待った。今日は花枝の奢りね!」


「そんなに遅れて無いでしょー!!」


「あははっ!ウソウソ!さぁ、行こう!今日は何処に行く?」


「そうねぇ~。その前はイタリアンだったし、今日は………焼き鳥とかは?」


「いいねぇ~!それなら良いとこ知ってる!!Follow me~!」


「Oh~yes!!」


同僚や真弓との飲み会もこのところ頻繁になってきている。

子供のいる彼女を誘うのは何だか申し訳ないのだけれど、気の置けない親友は私にとって彼女だけだった。


「それじゃあ…今日もお疲れ~!」


カチャンっと並々と注がれた泡を少し溢しながら乾杯をする。

「ああ~~!!これだなぁ~…やっぱ。」


「花枝………あんたもすっかりオヤジ女子になっちゃって~…。」


「いいの!もう、結婚してるんだし、今更、ブリっこする必要も無いでしょ?」


「確かにそれはそうだけど…………。」


歯切れの悪い真弓が何か言いたそうに言葉を濁す。

そんな時は決まって私は強がってみせる。


「私は大丈夫よ!」


「花枝………あれからもう、半年近く経ってるのよ。泉さんからは連絡無いの?」


「連絡は黒木先生を通してちゃんとしてる。」


「それはちゃんとしてるとは言わないでしょ?」


「ごめん真弓…。でも、千春さんをこれ以上苦しめたくないの………。」


「花枝………。」


「それに、別れたわけじゃ無いんだから………私は千春さんを信じてる。だから大丈夫!!」