デスクの上に真新しい名刺か置かれた。

黒木病院 心療内科 外科 黒木 希と書かれている。


「先生、新しい名刺出来ましたよ。」


「あっ…ああ、ありがとう。……そうだ、結婚相談所の方の名刺も追加で頼むよ。少しでいいから。」



「分かりました。……先生、まだお帰りにならないので?」


「ああ、これを片付けたら上がるよ。」


「もしかして……泉夫妻が気に掛かっているのではないですか?」


「……ふぅ~~。どうやら私は、君には隠し事を出来ないらしい。」


「フフッ。……上手くいくでしょうか?」


「私は彼女に賭けてるんだよ………最初は駄目でもきっと最後は上手く行くってね。それにね、初めて泉さんの方からOKが出たんだ。きっと何か縁があるはず。」


「先生がそう仰るのなら、きっとそうなるのでしょう。」


「ああ、そうだよ。」


そう言うと黒木は楽しそうにペンを回し、胸ポケットのいつもの場所に万年筆をストンと入れた。