考え事をしている時だった。

急にかかとが引っ掛り、止まった足とは逆に体は前のめり飛び出した。


「うわあ!!」


倒れ込んだ拍子に膝を思いっきりぶつけた。


(うぅ~~…………痛い………。)


ぶつけた所を見てみると、うっすら血が滲み始めている。


(あぁ、もう!!何でこんな事になるの………部長に転ばないなんて言っておいて………。せっかく用意したスカート履けない………。たまにしか着ないけどロッカーに置いてあるパンツスーツで行くしかないか…。)


出鼻を挫かれて少し落胆していると後ろから声が掛かった。


「あんたどうしたの?そんなとこに座って?」


「あっ、令子………。今、思いっきり転んじゃって、………ご覧の通りよ。」


怪我した膝を見せるとさっきより血が出ている。


「大丈夫?今日は大事な調印式あるんでしょ?」


「大丈夫だけど、せっかく用意したスカートこれじゃあ履けない。………ダサいけどいつも置いてあるパンツスーツにするしかない………あ~~ぁ、最悪!!」


「私のでよければ、膝が隠れるセットアップ貸してあげようか?」


「えっ?いいの?」


「別にいいわよ。女にとって洋服が完璧じゃないとテンションがた落ちになる気持ち分かるもの………私の今のお気に入りだから汚さないでよ。」


令子は意地悪そうに笑うと手を差し出してきた。

私は手をとるとゆっくり立ち上がった。


「ありがと、令子。凄く助かる!」


「じゃあ、行きましょ。時間無いんでしょ?」