そんな甘いセリフも恥ずかしくもなく真剣に言われてしまうと、一日中、恋の魔法にでもかかったようにフワフワと夢心地で貴方の事ばかり考えてしまう。


「もう、起きなきゃ、千春さんはもう少し寝てて!」


真っ赤な顔を見られる前にそそくさとリビングへ逃げる。

身体の関係もまだ無い私達はまるで思春期の初恋の様だ。

お互いの分からない部分に想像を膨らませて、それを知ろうと必死だ。

だから、いまだに言葉一つにドキドキしてしまう。

私は朝からの邪念を振り払いながら家事をこなした。


「今日の朝ごはんは…………そうだ、フレンチトーストにしよ!昨日フランスパン買ってあったし、千春さんも大好きだしね。後はハムエッグにサラダ、スープは昨日のミネストローネでいっか。よし!作るぞ!」


料理を作っている時間は好き。

没頭して作っていると余計な事を考えないで済む。

私だって強がっているけど、ふとした時に千春さんの病、将来の事、色々考えて不安に思う時もある。

だから、そんな時はカフェミュージックをかけながら料理をするとリフレッシュ出来るのだ。…………まぁ、片付けは嫌いだけどね。

ある程度出来たら取り合えず仕上がっている洗濯物を干しに行く。

いつものパターンだ。

洗濯機の蓋を開けると仕上がってる筈の洗濯物が見当たらない。


「えっ?!なんで?………ベランダの物干し場に持ってったっけ?」


不思議に思いながらベランダに行くと千春さんが洗濯物を干していた。


「ちょっ!千春さん!!何してるんですか?!」