「花枝ちゃん大丈夫?タクシー今来るから。」
「部長~!!私は大丈夫ですから、さっさと行ってくださ~い!!」
「分かったから………、あ!来た来た。ちゃんと乗れる?」
「ぶちょ~!いつまで居るんですか?!さっさと行きなさい!」
「分かったら、早く乗って。」
私に振り回されて、ちょっと困った顔の部長が面白くて、ついつい苛めてしまう。
ふらつく足でなんとかタクシーに乗ると窓を開けて部長を見送った。
「お疲れさまでした!!」
「お疲れ!」
足早に会社に向かう部長を見送りながら私はクラクラする体をタクシーの後部座席に沈めた。
(あぁ~今日は上手く行って本当に良かった~。)
夜のネオンがチカチカ眩しくて、私は瞼を閉じた。
(今日も頑張った。早く千春さんに会いたい………。)
進み出したタクシーが少し動いて急に止まった。
反動で少し体が前に揺れて、驚いて目を開けると、ドアが開いて誰かが入ってきた。
「俺も途中まで乗せてくれよ!」
「えっ?桐島社長?!」
颯爽と乗ってきたその男は隣に座ると、驚く私の顔を見てそんな事お構いなしとばかりにニッと笑った。
「運転手さん、出して。」
「あ、あの………どうしたんですか桐島社長?さっき帰ったんじゃ。」
彼は狭い車内で足を組んで私を横目で見た。
「もう、仕事は終ったんだし、社長は止めてくれ。俺は桐島 彩矢。………あんた酔っ払って危なそうだし、送ってやるよ。」
「は………はぁ。」
(別にいいっつ~の!あんたの方が危ないオーラ放ってるんですけど………。でもなぁ、取り引き先の社長だしなぁ………これは断れない。)
「すいません。お気を使って頂いて………。」



