「それじゃあ、この後、御近づきの印に俺の行きつけの店に飲みに行きませんか?」
「この後ですか?」
白川部長は明らかに迷った風に私をチラリと見た。
(もしかして部長、私に気を使ってる?)
私はせっかくの契約の確約成立に水をさしたくなかったので、部長の目を見てコクンと頷いた。
部長はすまなそうに私を見てから、振り返って桐島社長に承諾の返事をした。
「それじゃあ、行きましょうか。」
「今日は飲みましょう!」
桐島社長は上機嫌で私達を先導した。
「花枝ちゃん、悪いけど少し付き合って貰ったら早々に帰すからちょっとだけ我慢して?」
「何年秘書やってると思ってるんですか?全然平気です!仕事ですから!」
私はにっこり笑って答えた。
こんな事はよくある事だけど、なんだかすんなり喜べないのは私が疑い深い所為か?
私はそんな不安を隅っこに感じながら次の店へと向かった。
(そうだ、早く帰れると思うけど千春さんに一応連絡しとこ。今日の事は黙っとくか、変に心配かけたくないもんね。)
「花枝ちゃん!行くよ~!!」
「あっ!は~い!今行きます!!」



