コーヒーメーカーがコポコポと音を立てて部屋中いい香りが広がる。

昨日買ってきたばかりのスペシャルブレンドだ。


「はい。どーぞ。」


「ありがとう。…………………うん、おいしぃ。」


「それで?聞いていいの?どうしたのか?」


「……………同僚にキスされてる所、千春さんに見られた。……そんで、嫌いって言われた。」


「はぁ?!何それ?何でキスされんの?昨日はディズ○ーに旦那と行ってたんじゃないの?」


「分かんないけど、仕事帰りに来たみたい。多分、告白するつもりで来たんだと思う。急だったから私も油断して……。」


「それを昼ドラさながら旦那に見られたと?」


力なくコックリ頷く花枝。

なんだか、可哀想で居たたまれなくなる。


「その後、千春さんにキスされそうになったんだけど……私とは出来ないって言われちゃった。ハハハ…………。」


「何それ?自分の病気で花枝に迷惑掛けてるくせに!!腹立つ!!それであんたは何?泣きべそかいて尻尾巻いて逃げてきたわけ?」


「だって………。」


「花枝の心は何処にあるの?誰と一緒に居たいの?」


「そんなの、千春さんに決まってる!!」


「それが分かってるなら話が早いじゃない!このまま終わりたくないなら、あんたがやることは決まってる!」