千春さんは私と目も合わせず、そのまま出ていった。 不安と緊張が一気に解けて、私はその場にへたりこんだ。 「うぅ………うぅ……。」 止めどなく溢れる涙を拭うこともせず、私は暫くその場でうずくまっていた。 (何で…………千春さん……) その後、夜が明けても、千春さんは帰って来なかった。 メールも着信もなく、代わりに藤森の着信だけが積み重なっていた。