「急にプロレスなんておかしいじゃないですか。俺を女性に慣れさせる為にやってるんでしょ?」


(口調が変わった……俺に戻ってる。……彼に嘘はつきたくない……。)


千春さんは本音を語りだすといつも、自分を俺と言い、少し敬語が緩くなる。


「……はい、そうです。黒木先生に言われて…私も知りたかったんです。千春さんが私をどこまで受け入れてくれているのかを…。」


千春さんは床に座っている私の前にゆっくり跪くと、優しく抱きしめた。


(千春さん……。私も案外捨てたもんじゃないって、少しは千春さんの特別だって思ってもいいよね?)


「今は貴女をこうする事しか出来ませんが、俺からしたら信じられないくらいの奇跡なんです。」


「千春さん………。」


「花枝さん。今日から同じベットに寝てくれませんか?」


「えっ?でも、いいんですか?」


「花枝さんが気を使って客間のベットに寝ていた事は知っていました。でも、貴女に迷惑をかけてしまうんじゃないかと、中々踏ん切りがつきませんでした。……でも、今日はこのまま一緒にいたい。同じベットに寝て、花枝さんと同じ朝を迎えたいと思ったんです。………駄目ですか?」