ボクサーな彼女

後日、彩の引退試合の日程が決まると、チケットはわずか秒札でソウルドアウトになった。
試合当日ー
ボスは彩に、「よく頑張って来た。今日は最後の試合だし、精一杯楽しんどいで」と声をかけた。そして彩は、リングに上がった。彩と草津は向かい合うと、一例をした。「最後だから勝たせてやるなんてことしないからな?そんなのフェアじゃねえし、俺の名がすたるから、手加減しないけど、本気で向かってこい!!全部受け止めてやる」と草津は言った。試合は始まった。彩は、KOでは勝てないと判断し、ポイントを稼いで判定に持ち込む作戦をとった。お互いのボルテージは最高潮のまま試合は進み、会場の温度も一気に上がっていく。両者互角の一歩も譲らない攻防を続けた。後半戦に突入して、先に仕掛けたのは彩だった。はっきりとは決まらなかったものの、確実にダメージは与えた。最終ラウンドまで持ち込んだ。彩も息を切らしながらも必死に食らいついていった。残り数秒というところで、草津は動いた。今まで温存してきた最強威力の右フックを噛ました。彩は沈んだ。勝てなかった。試合は終了した。