彼は順調に勝ち進み、見事優勝してしまった。

桁違いの実力にみんな、開いた口が塞がらなかった。

そして異例の三学年、同時優勝という創業以来初の功績を打ち立てた。

「マジかよ!?アイツ、凄すぎる。俺らでもなし得なかったのに…まさか、陸の世代で、異例の三学年、同時優勝とは…ビックリやわ。アイツ、化け物だな。草津みたいだ」と横に草津がいるにも関わらず平然というボス。

彩はそんなボスを尊敬した。

そして、「私も同じこと思いました。草津さんを思い出しました。彼を見て。栄介が手塩にかけて育ててるっていうの、何となく分かった気がする」と彩は言った。

「そうか、栄介が見込んだのかアイツ。やっぱり、彩に見込まれただけあって見る目もスゴいな」とボスは豪快に笑った。

「彼は大物になるわね」と彩はぼやいた。

「だな」とボスは楽しそうに笑った。

数日後の団体戦では陸、栄介、彼の活躍により、圧勝で優勝した。

そして、最高の成績を残して陸は引退する。

引退セレモニーでは素晴らしいパフォーマンスをし、観客を魅了した。

陸は、栄介をキャプテンに指名し、彼を副キャプテンに指名した。

誰もが納得するキャプテンと副キャプテンに決まった。

「あの、陸さん、前々から思ってて、彩さんにも言ってたんですが…俺とデートしてくれませんか?」と公衆の面前でいう栄介に、

「栄介、今自分が何言ったかわかってる?まぁデートしてあげるけど…場所考えて言わないと勘違いされるからね?」と陸はニッコリ笑って言った。

学校でそんな話をしている頃、彩の2戦目の相手と日程が決まった。