年が明け、いっそう練習に励むみんな。


彩にとって、最後の大会となる春の引退試合に向けて必死で練習した。

春の引退試合を無事終えた彩は、陸をキャプテンに、

栄介を副キャプテンに指名した。

そして、「那須崎君、どう思う?陸はよく頑張ったと思うのよ。キャプテンでもいいんじゃないかな?って」と彩は言った。

「いいと思うよ。まぁ、俺も引退だし、俺がどうこう言う必要は無いかと…」と那須崎は言った。

誰も何も言わなかった。そこで顧問が、「君の決めることに反対しないと言ったよね?誰も陸はダメなやつだなんて思ってないし、みんな、ちゃんと、陸の頑張りを見てきた。大丈夫だよ。うちにはエースがたくさんいるし、栄介もいる」と言って、彩はホッと胸を撫で下ろした。

「ですよね!!」と彩は笑い、陸を見た。陸も彩を見つめ返した。二人を微笑ましく見守る二人。

空気を読まない栄介が、間に入るように、急にこんなことを言い出した。

「彩さん、もう引退で、もうすぐ卒業ですよね!!俺、寂しくて、この先心配です。けど、陸さんとみんなと一緒に頑張りますんで、俺のわがまま聞いてもらえませんか?」と。

「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいわ。何かしら?」と彩が言うと、

「一緒に思い出作りたいんです!!なので俺とデートしてくれませんか?」と栄介は言った。

「おいおい、栄介、何で今、そんな発言?ましてや陸の前で…」と那須崎が言いながら陸の顔を見た。

「いいですよ。那須崎さん、そんな風に言わないであげて下さい!彩さんは栄介を大事にしてます。なので、頑張ってる栄介にご褒美ということで…ねっ?」と陸が言うと、

「おお~大人?俺は嫌だな。ってか、陸は優しすぎるんだよ。陸が良いなら良いけど」と那須崎は言って豪快に笑った。

彩も笑っている。陸はその彩の笑顔を見れただけで満足だった。