彩の練習はかなり厳しく、

グランド外回り10周走ってすぐに、

腹筋、腕立て伏せ50回ずつを3セット、

そのあとグランド内回りを5周、

シャドーボクシングにスパーリングなどとほぼ休憩もなくハードにやる。

みんなはバテながらも全力でついてくる。

倒れそうになった人がいれば声をかけて休ませるがほとんどが倒れることなく、メニューをこなした。

なぜ周りは何も言わないんだろう?そう不思議に思っている栄介は思いきって彩に聞いてみた。
「彩さん、なんで、こんな強行メニューするんですか?そして、なんで、誰もその事に何も言わないんですか?」と。

「よくぞ聞いてくれたわ。誰も聞いてくれなかったから、誰もそんなに本気じゃないか、もしくは、余裕なくて聞けないんだと思ってたのよ。
私は先輩らと一緒にしてて思ったことが、まだまだ足りないなってことでね、毎日吐いてでも頑張れる人は強くて、本気でボクシングと向き合ってる人だと思ってるのよ。だから、ついてこれないなら辞めてくれてけっこう!けど…やる気があって私についてきたいならとことんやるべきだと思うの。だって私が本気で頑張ってるのに、他の人が弱々だったらやる気失せるでしょ。私がキャプテンである以上は私のやり方には従ってもらう。勝つためにね」と彩は言った。

「彩の言う通りだしね、ここは名門校なんだよ。かなりの歴史があるんだ!!多少キツくても誰も文句言わないよ。実力はあるからね」と那須崎が優しく付け足した。

が、栄介は納得してないようだった。

「栄介納得してないでしょ?」と陸が言うと、

「はい。よくわかりません」と栄介、

「あのね、彩さんは誰よりも努力してきたの。それで実力でチャンピオンになったのね。そして、キャプテンになったの。
だから、誰もが彩さんを認めてる。本気で向き合ってるやつは、彩さんみたいに強くなりたい!!って必死で頑張ってるんだよ。栄介みたいに。だから、少々厳しくても文句なんて言わないんだよ。わかった?」と陸は優しく丁寧に言って笑った。

「この笑顔に癒されてるしね?みんな…」と那須崎が言うと、

「確かに…陸さんの笑顔は反則級ですね」と栄介は言った。

「納得はしてくれたの?」と陸が優しく問えば、

「はい。何となく言いたいことは理解しました。確かに俺も必死になって練習してるけど、辞めたいとかは思わないし、文句なんてもってのほかです」と栄介が言ったので、陸は笑った。

彩は「もう、陸大好き!!ありがとう」と言って陸を思いきり抱き締めた。

陸は喜んでいた。「微笑ましい光景だけど…練習してね?」と那須崎に言われてしまい、陸と彩は練習に戻った。

彩は一人一人に声をかけながらアドバイスをしている。

みんなは彩にアドバイスをもらい、時には励ましてもらい日々強くなっていった。