「あれ……泣いてる…?」
すると、驚いたように男子は私の顔を見つめた。
「って、そんな分けないか」
また小さく笑って、男子は保健室へと入る。そして、保健室につくと、窓際の一番角のベッドに腰を下ろした。
「ここ、俺の定位置なんだ。秘密ね?」
『ぷっ』
その言い方がなぜか可愛らしくて、猫になって初めて笑った。
「俺、敦賀 湊太って言うんだ。学年は、2年」
あ………私とおんなじ?? こんな人、同級生にいたんだ。何組?まさか、同じクラスなんてオチないよね??
思い浮かべてはぼんやりするクラスメートの顔を頭に思い浮かべてみる。
駄目だ、全然わけわかんないや。
「君の名前は………」
『藤森 鈴です!!』
「うーん………」
私の言葉はきっと、ニャーとしか聞こえてないんだろうな。あぁ、敦賀君、困っちゃってるよ…
おそらく、今の私の耳としっぽは、情けなく下がっているだろう。


