『すみません、あなたも不運でしょうが、私のこの姿には訳がありまして…』
「ふむ、ふむ」
おお!私のこのありえない姿を見ても、動じずに聞いてくれるなんて、なんて優しい人!!
『それで!!これは実験中にですね、事故が…』
「ごめん、俺…」
心底申し訳なさそうな顔をする男子に、私は落胆する。
そうだよね、急にこんな事言われても、困るよね。はぁ、じゃあ、私は誰を頼れば……
「今は、チョコしかないんだよね」
『そうですよね、チョコしか………』
チョコしか………チョコしか………チョコ??
チョコって何!?いや、あのお菓子でしょ。いや、それが問題なんじゃなくて……
『もしもし?』
「駄目だよ、チョコなんて食べたらお前、死ぬよ?」
ああ~……やけに物わかりいいはずだわ!!通じてない!!断じて会話になってない!!
そりゃあ、猫だもんね、通じない可能性もあった。だけど、こんなに希望が絶たれ続けると、もうどうしていいのかわからない。
「なんだ、しょぼくれてんの?大丈夫だよ」
『え………』
目の前の男子は、よしよしと私の頭を撫でる。その優しい手に、私は、泣きたくなった。
言葉が通じなくても、落ち込んでいる事に気づいてくれた。今は、それだけですごく救われた。


