『嘘でしょ、こんな事って………』


先程まで使っていた椅子や机が私の背を越すほど大きくなっている。いや、私が小さくなってる!?



そして、今度は自分の手?を見て言葉を失う。



なに……この毛むくじゃらの手!!!しかも、肉球まである!!!ま、まさか………


先程見た猫の姿が頭をよぎる。


いや、まさかそんな事は!!嫌な予感がし、私は慌てて駆け出す。


『と、ととととりあえず、鏡!!!』


私は教室を出て、科学室前のトイレへと駆け込んだ。



『しまった!鏡が高すぎて、見えないじゃん!!』


私は鏡に届くようにとジャンプした。すると、思いの外高く体が飛び上がる。


『ひゃあっ!!?』


慌てて流しの上に着地すると、鏡に映る姿にまた、驚愕した。


白い毛並みに、ピクピクと動く三角の耳。ピンと伸びる髭に、クリクリとした、明らか人でない金の瞳。


そして………ピンクの肉球。



こんな姿形をしている生き物は、たった1つ、いや、一匹しかしらない。


『あああ、ありえない!!っけど、これは、これは猫??私が、猫になったの!?』


驚きと絶望が一気に押し寄せる。


嘘でしょ!?こんな、非科学的な事があってたまるか。私は、生まれてこの方、すべての出来事は科学的な根拠に基づいていると信じてて………


「次、ナカムーの授業とか、ダルくない??」

「ねぇー!しかも、小テストじゃなかった?」


げ!!!誰か来た!!こんな姿、見られたらまずいんじゃ………。


しかも、足音は明らかトイレに向かってる。早く、ここから離れなきゃ。



私は流し台から飛び降りて、廊下へと飛び出る。すると、思いの外近く聞こえた女生徒の声だが、まだずっと遠くの廊下にいるのが見えた。



あれ、私、あんな遠くの声や足音までこんなに近く聞こえてる?これも、猫になったから??



体の変化に戸惑いながらも、私は科学室に戻るために廊下をかける。