「はっ……あ、え………」
すごい。人とは、本当に驚いた時、言葉が出ないものなのね。
「今、猫と話して………」
「あ……」
やばい。やばいーーーー!!!!
しゃがみこんだ状態で、私は最善の言い訳を探す。
「あ?」
敦賀君は不思議そうに復唱してくる。
猫と話せます。むしろ、あの白猫は私です。なんて、言えるわけない!!!
信じてくれるはずが…………
「!」
よし、ここは…………
私は黒猫を抱き上げる。
『わっ、どうする気だい?』
黒猫は驚いているみたいだけど、それに構ってる余裕も無かった。
ーパサッ
折り畳み傘が地面に転がった。雨が私の髪を、頬を濡らす。
「あ、ありえませんので!!!では!!」
そして、たどり着いた答えは、〃逃げるが勝ち〃だった。
「え……ちょっと…」
「すいませーん!!!」
全速力でその場から駆け出す。向かう場所はただひとつ、科学室だった。


