ーポタッ
「ああっ…」
案の定、校門を潜るのと同時に、雨が振りだした。上履きに履き替え、渡り廊下を歩いていると、また視線を感じた。
これって………
渡り廊下から見える裏庭には、あの黒猫がちょこんと座り、私を見つめていた。
「君は………」
あの実験の時、ううん、それ以外にもよく私の事を見つめていた黒猫。金の瞳が印象的だったから、覚えてる。
ーザァァァァッ
「あ、雨!!濡れちゃうよ??」
私は怖がらせないようにとゆっくり近づき、黒猫に折り畳み傘を差し出す。
『やぁ!!』
黒猫は一鳴きして、私を見上げた、はずだった。
あれ、今私の耳がおかしくなければ、『ニャー!!』じゃなくて、『やぁ!!』って聞こえたような……
「いやいや、まさか………」
『何がまさかなんだい??』
「……………………ま、まさか!!!?」
夢じゃないってどういう事よーー!!!今、私猫と喋ってる!!?
『夢じゃないよ、僕は君の前にいる』
「黒猫さんが喋ってるの??」
『うん、僕だよ』
わ、わわっ!!本当に本当だ!!
黒猫はあの金の瞳で、私を見つめた。
『ずっと、君とお話したかった』
「どうして………というか、私は何で猫と話せるの?」
猫化した影響!!?
いや、今は人の体なはずなのに………


