私も手伝おうとしたら


「奥様は大丈夫です。お手が汚れてしまいますから。青野様も大丈夫ですから。」


そうは言っても、翔には手伝って欲しそうな顔をしている。



「良いよ。輝星夜は手が汚れちゃうから座ってて。」


「…………うん。」


仕方なく私はシートに座った。

2人の会話を聞きたくなくて、備え付けのヘッドフォンを耳に当てた。


ボタンを押してながれたのは失恋ソングで、私の胸を"キュッ"と痛ませた。


「………楽しくなれば良いな。」


何気なく呟いたこの言葉を翔が聞いてるとは思わなかった。