「…嫌な夢、見たの?」
「…うん…
…俊?
…俊の好きな人、誰?」
「…キスマーク、
学校で不安に駆られて
泣かないように
付けといてやる…」
「…んっ」
チクッとする。
制服よりは襟が(えり)はだけてる
私の部屋着の襟ギリギリの
首筋からの痛み。
俊いわく、
一回で付けるのは、
力加減が、
最初の方は
難しいらしい。
…俊は
こういう気遣いが一番得意。
…さっき自分で
あぁ、私はなんて馬鹿な質問したのだろう、
…そう思った。
好きって言われても、夢と重なるだけ。
見た夢が嘘のことだと分かっていても、
心の傷は、付いてしまうだろう。
…例え、隠すことが得意でも、
俊にはバレバレ。
…ん?
私の左手首なんか引っ張って…
…何したいんだろう?
チクっ
俊は私の手のひら側の手首の
血管が良く見えるところより
少ししたのところに
…キスマークをつけてくれた。
「…壁ドン的なやつ…
どう?」
…涙で湿っている私の目を
捉えて(とらえて)離さない、
いたずらっぽい笑みを浮かべるお兄ちゃんは、
…私の彼氏。


