壁ドン短編




「…今の流れ的に、
「俊」って呼ぶべきだよな?」



…お兄ちゃん…俊が
私の後頭部に右手を添えながら言う。


「…キス頼まれたしなあ?

してやるから、
その間に名前で呼んでみろよ…」


「んン………はぁン………………ンック…………」


苦しい…
赤いのが入ってきたから。


こんなんで呼べるわけない―――。


お兄…俊が顔を少し離して、
肩で息する私を見つめる。


「…どうして名前、
呼んでくれないんだろうなあ?」


俊が口の端(はし)を持ち上げて
わざとらしく、
分からないみたいな声色で言う。


「…はぁ、はぁ、
俊の馬鹿…S!ドS!」


「…その「ドS」のことを好きな人が
俺の目の前にいる気がするなあ。


…ねえ、
誰が好きなの?
有捺は。」



「……俊…っていう、ドS。」


俊はふっ、って笑ったあと、
また私にキスしてくれた。


「…ねえ、壁ドンって…
憧れたりするの?」


「…いきなり……?
どうして?」