(夏の熱さにヤラれてる…) 将太は顔の前で手をヒラヒラさせた。橘 泉歩はもういない。それなのに思い出してしまう。 (橘……お前は夏木に何を伝えようとしてたんだよ) 扇いでいた手を止め制服のポケットに手を突っ込む。制服から出したのは字もかすれて読めないほどのボロボロの紙切れ。さ (だってさ…しょうがないじゃん…) ある季節の罪悪感に将太は再び目を塞いだ。