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「……これで、"孤独ヒーロー"の詩か。」
この事件を調べている刑事の形原(カタハラ)は、後輩の菅沢(スゲサワ)と、先日、自殺で亡くなった東出暎(ヒガシデアキラ)の日記帳を見ていた。
「そうですね。暎くんはいじめに対して、辛いとかそういう感情は無かったんですかね。」
「……毎日を機械的に過ごす、か。」
「湍水さんは、どう思います?」
菅沢は、その場に泣きそうな顔で立っている広瀬湍水(ヒロセ ハヤミ)に気を使いながらも、当たり障りのないように話しかける。
「暎は、兄さん……あ、お父さんとお母さんを亡くしてから、感情を無くしました。
他の親戚の人達は見て見ぬふり。元々、暎の両親は、望まれない結婚だったので……。
だから、その日記は、暎の本心だったのではないでしょうか……。」
「お辛い中、すみませんが、暎くんとは、恋仲にあったんですか……?」
バシッと形原は菅沢の頭を叩く。
「お前は馬鹿か。日記の内容みりゃ分かるだろうが。すみませんね、この馬鹿が。」
「……いいえ。大丈夫ですよ。
ただ、私は好きです。家族愛的なことでも……恋愛的なことでも……。」
湍水の声は、震えていた。



