両片想い

その人は短髪で背が高かった。
猫背じゃなくって
たくましかった。



前に恋した先輩の背中は
丸くて小さくて
襟足が可愛く思えた。




「ああ、思い出しちゃったじゃない。」



ハアとため息をついて
リュックサックをゆっくりと
握りしめて
背負わないでクシャクシャにした。



実はわたし、ちゃんと恋したのは
先輩との恋だけかもしれない。

あの時は、両想いがいいって
思った。





想えたんだ。