【短】初恋ラビリンス


しかしいつまで経っても目的地らしき場所につかない。


不安になって 陽に尋ねても

「ねぇ、まだ...なの?」

「あと少し」

はぐらかされているのか さっきから同じ事しか言われない。



「あ、そういえば久坂さんは何してるのかなー!?」

「はっ?」


なにか話さなければいけないと思い、口に出したのは自分でもアウトだってわかる久坂さんのこと。


「...今は アイツのこと考えるな」

今度は足を止め、頭をポンポンされた。

そしてまたすぐに歩き始めた陽。

それでもまだ陽に手を掴まれたまま。


何故か今更な緊張をし始めちゃって カァーとカラダが熱くなったのがわかった。


これこそ陽に気付かれたら恥ずかしい。

気づかれないように願う。


陽と気まずくなるくらいならこのままの関係がいいから。

だから私の気持ちには気づかないでください。

星に願った。




そんなくだらないことを願っている間に

「ついたぜ」

目的地についたらしい。


「...わぁ」

「唯、忘れてただろ?
今日は花火大会もあるって」

「うん
陽、こんな綺麗に見える場所知ってたんだね」


そう、陽に連れてこられた場所は少し小高い丘。

ちょうど公園みたいになっているところ。


そこからは色とりどりの花火が見えて、綺麗なところだった。

しかも人が少なく、穴場スポットみたいなところみたい。



「本当にきれい...」


きっと隣に陽がいるからそう思えたんだ。