家までの帰り道。
さっきまで盛り上がっていたのが嘘みたいに陽と話が続かない。
私から話しかけても陽は「あぁ」とか「うん」とかしか言わない。
陽は上の空っていうか 何か考え事をしているみたいで話しかけづらくて 私は何も話しかけられなくなった。
ふと空を見上げた。
「あ、流れ星!」
「えっ?」
お、陽が反応してくれた。
嬉しくなって
「流れ星だよ流れ星!
陽、見た!?」
陽の腕を叩きまくった。
「いてぇよ。...俺は見てない」
「あ、ごめん...」
また、話せなくなる。
そう思ったのを打ち砕いて陽は口を開いた。
「あー...唯」
「なに?」
「唯はさ 例えばだけど流れ星に何を願う?」
陽らしくない 夢みたいな話。
「私かぁ...」
まぁ願いごとならある。
陽には言えない、身分不相応な願いが。
『陽の彼女になりたい』って願いが。
そんなことはもちろん言えないから私は
「陽には言えませーん!」
笑って誤魔化す。
私自身がこの気持ちを言わなきゃ 陽だって気づかないはず。
「フッ、そうかよ。唯はズリぃな」
そのはずなのになんで陽は、あの陽が悲しそうに笑ってるの?
私はその表情を見ていないフリをして話を続ける。
言ってしまったら 何かを壊してしまいそうだから、私は気づかないフリをする。
「そ、そう言う陽は何かあるの?!」
「俺?なに、知りたいの?」
グイッと陽は顔を近づけてきて 悲しそうに笑った。
『だから、なんでそんな表情を陽がするの?』
なんては聞けないから私は頷く。



