東城が出ていくと、しばらくの沈黙が流れる。何を言ったらいいのか分からなかった。
何を言おうか悩みに悩んだ結果出た言葉は・・・
「・・・大丈夫?」
我ながら捻りがない言葉だな、と思った。
「うん・・・大丈夫。迷惑かけて、本当にごめんなさい。」
謝る市川さんの表情は、泣き出しそうに見えた。
(やばい、東城の言うように俺が責めてるみたいになってる・・・?)
あれこれ聞くのはやっぱり良くないのか。
でも、気になっていた。
何で彼女が泣く事になったのか・・・
「俺さ、別に責めてるわけじゃないんだ。ただ、泣いたっていうから理由が気になって。いや、別に無理に話せとは言わないけど。俺で良かったら、相談に乗ろうかなって・・・」
言葉を選んで言ったつもりだったが、まとまっていない。
市川さんはというと、俯いてしまっていた。
(やっぱり俺の言い方がおかしかった!?)
「あ、あの、ごめん・・・俺ー・・・」
「私が・・・・・・・・・の。」
「え?」
俺の言葉は遮られた。
彼女は俯いたまま、何かを言った。
でも、小さな声だったので聞き取れなかった。
「私がおかしいの・・・普通の女の子だったら、あれぐらいで泣かないよ・・・私が、普通じゃないから・・・」
彼女の体は微かに震えている。
まさか、また泣いているのだろうか。
(ますます分からなくなった・・・市川さん、一体何をされたんだ?)
でも、この状態の彼女にこれ以上聞くのは良くない気がした。
俺は思い切って、彼女の手を掴んだ。
「佐久間くん・・・?」
「歩ける?先生も心配してるだろうから、教室に戻ろう。」
「でも・・・」
「大丈夫、気にしなくていいよ。色々聞いてごめん。」
そのまま彼女の手を引いて、屋上から出て行った。
