扉を開けると、市川さんはいた。
正確には市川さんだけではなく、もう1人いた。東城零だ。
「あ、あれ、佐久間くん・・・?」
市川さんが俺に気づいて俺の方に近づいてきた。
すると、東城もそれに続いた。そして、俺に話しかける。
「佐久間・・・だっけ?お前もサボり~?真面目そうな顔して意外だなー」
「いや、市川さんが戻ってこないから探しにきただけ。先生にもちゃんと言ってあるし。」
サボり、と言われた事に若干の苛立ちを覚えていた。
お前とは違う、と。
でもそれを態度に出すのはあまりにも幼稚なので、抑え込み淡々と返事をした。
「さ、佐久間くんごめんね・・・わざわざ探させちゃって。」
市川さんが謝る。
別に彼女を責める気はない。
でも、気になる事があった。
「市川さん、何で屋上にいるの?」
思わず尋ねていた。
体調が悪いなら保健室に行くのが一番だし、体調の悪い状態で階段をのぼって屋上まで行くのは辛いだろう。
「あ、えっと・・・」
市川さんはちらりと東城の方を見た。
すると、東城が彼女の前に立った。
「そんな責めないであげてよ~?可哀想じゃん?」
「責めてないよ、屋上なんてそんなに行かないから、何でいるのか気になっただけで・・・」
「俺がね、優梨を泣かせたの。だから、慰めようって思って屋上に連れてきた。それだけ。優梨は悪くないでしょ?」
東城はあっけらかんと説明した。
(こいつ・・・自分が悪いのに、こんなあっさりと説明するなんて・・・)
「・・・お前、泣かせたって何したんだよ・・・」
「さあ?佐久間には関係ないんじゃない?あ、俺はちゃんと謝ったからね~?」
さすがにカチンときた。
完全にこっちを馬鹿にしている反応だったからだ。
「ちょっと、そんな言い方・・・」
市川さんが眉をひそめる。
「・・・佐久間が来たからもう安心だね~俺は保健室でサボる事にしよっかな。じゃあね~♪」
東城は勝手に話を切り上げて去っていこうとした。
「待てよ、東城。全然反省の色が見えないんだけど。」
謝った、と言っているが真面目に謝ったのかは定かではない。
(それに・・・単純にイラついてる・・・東城が市川さんを泣かせたって事実に・・・)
東城はゆっくりと振り返った。
「しつこい。謝ったって言ってるだろ。そんなに、優梨が気になる?それなら本人に聞きなよ。」
そう言い捨て、東城は屋上から出ていった。
