美夏さんは、他の暗殺者に愛していた人を殺された。

それが許せなくて組織を去ったというのは聞いたことがあった。


…まさか江戸城にいるなんて知らなかったけど。




隣で光英がため息をついて言った。



「俺、先に主んとこ戻るわ。こんな人が出てしまったしな。俺のこと、適当に流しておいて。」



私は頷き、手足を縛られ、口も塞がれた美夏さんを担いで出て行く光英を見送った。





…………だが。


光英がピタッと動きを止めた。

…そして





「…誰だ。」