そして所は大広間。


たくさんの人を脇目に、真ん中に立つ人を目だけを上に見ていた。





…少し老けたかな。…まぁあれから10年近く見ていないのだから当たり前か。



それでも菊さんと同様、まだまだ若かった。


彼の隣には先程の奥方が。

…黙っていれば高嶺の花なのに。



でもそんな奥方だからこそ、私は…父を任せられる。





『父さま』。


あなたはあの素晴らしい奥方にまで愛されているのです。


だからこそ、もう失わないで。
周りを見て。江戸を見て。国を見て。


…そして




母さまを忘れないで。