知らなければ良かったことを知ってしまった気がする。

実にひどく後悔している。



そんな私を見て奥方は笑った。



「ふふふっ、こんなに気さくに誰かとお話できたのは久しぶりよ。

楽しかったわ。ありがとう。」



「いえ、こちらこそ。」




そろそろ会合が始まる時間。


…この方と話せて良かった。
気持ちが和らいだ。


やっと、冷静な気持ちで…父の顔が見られる。



ふっと小さく息をはき、挨拶をして部屋を出ようとしたときだった。





「………あなた、女」




「!!」