「では私のお部屋へ。」 そう言ってご機嫌な奥方は進んでいく。 私もそれについて行こうとすると、光英が耳打ちをした。 「なんかあったらすぐ言え。」 真剣な目に見つめられ、私はコクッとだけ頷きその場をあとにした。 「さぁ、どうぞ隊士さん。」 「…失礼いたします。」 奥方のお部屋というのは、思ったとおり昔の母と私の部屋だった。 久しぶりに入ったその部屋はやはり前と全く同じなわけではなかったが、少し落ち着いた。 …母さまとの思い出が1番残っている場所だ。