「……あ。」
笑った。
夜だからか、声を抑えて笑いを堪える星子さん。
…いつもどおりの星子さんだ。
「ありがとう、山崎さん。…ちょっと考え込んでたことがあったんですけど、少し気が楽になりました。」
笑って俺にそう言った星子さんは、完全復活はしていないらしい。
それでも、俺の存在が少しでも笑顔に変わるならそれでいい。
星子さんが、笑ってくれるなら…今はそれでいいだろう。
「じゃあ…おやすみなさい。」
「…おやすみ、星子さん。」
そう交わしたおぼろ月の夜。
もうこんな夜が来なくなるなんて…
誰も知らない。