「ひぃぃっ!……じかた、さん!」
「はぁ?俺は土方だ。」
土方さんがふぅと一息ついて私の隣にきた。そしてこう言った。
「何泣きそうな顔してんだ。」
…『泣きそう』?
私は、ただ悔しいだけで…泣きそうな顔なんて…
あれ、今どんな顔をしてるんだろう。
「土方さん、鏡持ってます?」
「あ?女じゃねぇんだし、持ってねぇよ。」
……ですよね。私なんて女の格好をしてるときも持っていなかった。
すると土方さんは眠そうにあくびしながら、私の肩に手をぽんっとおいて言った。
「そんな顔すんな。きれいな顔してんだから、笑ってる方がいいだろ。
………ってなんだその顔。」
土方さんが変なものを見るように私を見た。
いやいやだって、この人無自覚で言ってるの?
『きれいな顔なんだし笑え』って…
「土方さん、そんなこと女性に言ったら勘違いされますよ?」
「あ?なんのことだ?」
だめだ、この人天然たらしだ!!