彼がこの城の裏側を牛耳っていたことは、子どもながらに何となくわかっていた。 女人でありながら城主と婚姻した母のことをよく思っていなかった彼が、母と母から産まれた私を腫れ物扱いしたことも。 そしてその彼が亡くなった今、裏で牛耳られることがなくなったから、城の皆はのびのび生活できている。 ……全てはそうゆうことだ。 「そうでしたか。…では、僕はこれで失礼します。」 そう言って菊さんから去った。