そんな中、斎藤さんが静かに口を開いた。
「星子、ここからが本題なんだが…」
と、なぜか気まずそうに切り出す彼。
「なんです?…ここに来たからには、もう色んな覚悟はできてるつもりです。」
その言葉を聞いた斎藤さんは、腹をくくったように私をまっすぐに見て言った。
「……お前の母親、蘭子様の遺書が見つかっている。」
ーーーーーーー……え
私はガタリッと立ち上がり、斎藤さんと距離をつめ、彼の肩を揺らした。
「どうゆうこと!?母さまに遺書…?」
…全く知らなかった。
いや、私が城を出た後に母さまの死が知らされたのだからそれが当たり前だ。
…だけど、母さまが何を言い残したのか。
母さまが願ったことは何なのか。
私にできることがあったかもしれないのに…。
俯く私に、斎藤さんが言った。
「…一つは、お前への謝罪。
そしてもう一つは、『あの人の側にいてほしい』…と。」

