「この家紋、これは江戸城の家紋だ。
…もう、俺の聞きたいことはわかってくれるな?」
…こんなところで正体がバレるなんて、思いもしなかった。
言い逃れは……できそうにもないな。
それに、この皆さんの前で、もう嘘はつきたくない。
私は斎藤さんを見つめ、はっきり言った。
「本名は、徳川 星子 と申します。
今は母の旧姓、桜庭 星子 と名乗っております。
…私が、あの行方不明の姫。徳川 慶喜の実の娘にございます。」
そうして、城で習ったように、母さまに習ったように、床に手をつき深々と頭を下げた。
その言葉と振る舞いに、その部屋にいた組長、斎藤さん、土方さん、山崎さん、沖田さんが少しどよめいた。
私は、新撰組の皆さんを驚かせてばかりだな。
頭を上げ、少し笑ってみせた。