山崎さんは頷いた。
「……っ」
…顔が熱い。私は火照った顔を隠すように俯いた。
そして、可愛いくない私は言う。
「もう閉店時間なので…早くお帰りください。」
……もう失望するだろう。こんな女。
「会いたかった」と言ってくれた彼に、私は「帰って」と無愛想に返す。
……最後くらい、笑ってみせるくらいしなさいよ、この馬鹿女。
『…パシ』
「………えっ?」
俯いた目線の先には、私の腕を握っている山崎さんの手が。
「帰る。……星子さんも一緒に。」
…………………は?
そう思ったときには、もう腕を引かれて走っていた。
後ろで私を呼ぶ店員のおばさんが遠くなっていく。
もう、夕日は沈みかけだった。

