頭の中がこれで埋め尽くされて、もう何もわからなくなる。
どこからとなく吹いてきた冬の名残が残る風が、私の髪を揺らす。
「…そういえば……」
山崎さんが、この髪は『綺麗だ』と言ってくれた。
私の髪は、母さまと同じ色素が薄い、白が混ざったような茶色。
お団子屋にいるときもよく褒められていたこの髪。
だけど山崎さんに褒めてもらえたとき、なぜか本当にすごく嬉しかった。
『頼ってくれ』と言われたこともあったな。
私は強いから、そんなこと言われたことなかったし、誰に頼るつもりもなかった。
…でも山崎さんにそう言われると、少し甘えてもいいのかな?って錯覚して…。
「………あれ?」