おぼろ月の静かな夜。誰もが寝静まっている深夜1時。私はある家の屋根で、『あること』を待っていた。 「……ま!…だ。……っ」 途切れ途切れに聞こえた声は、今日の私の獲物だ。 「さて、そろそろ来るな」 風に紛れて呟き、短剣の位置を再確認し、屋根を飛び降りた。 「…!?なんだ貴様!」 「…………。」 大分長い時間見張ってきたけど…相変わらず性格の悪い顔である。 「おいっ、貴様はなにもの『ザシュっ』