ある日の放課後今日も志穂はバイトに行ってしまった。本来ならば私はここで1人寂しく帰っているのだが、今日は違う。

実はこっそり志穂の後をつけているところだ。こっそり、こっそり、右に曲がり左に曲がり…、やっと着いたのは木でできたいかにもお洒落な雰囲気のお店だった。

「…こんなお店知らなかった。」

私は恐る恐るお店のドアを開けた…。

途端に広がる香り
色とりどりの花びら
心地のいい音楽

一瞬で心を奪われた。

「……すごい。」

思わず零れた本音。

「いらっしゃいま…せ。」

振り返ると顔を引きつらせた志穂と目が合った。

「か、華恋!?な、なんでここに!!教えてないのに」

「…つけちゃった」

「はあ…。まあ、バレたらしょうがないよね。こっち来て、奥がカフェになってんの。お洒落なお店でしょ?」

「うん、気に入ったわ。毎日通いたいくらいね。」

「あはは、毎日はやだわね。あ、でも今度私が休みの時に一緒に来ようか。私も来たいし。」

「いいね。来ようか。あ、ここのカフェのオススメは?」

「そうだなあ。チーズケーキかなあ、好きだよね。チーズケーキ」

「好きー。じゃあ、チーズケーキにしようかな。」

「かしこまりました。お客様」

くすくすと笑いながら志穂は手を振って裏へ下がって行った。

暫く花を眺めながら待っているとチーズケーキが運ばれて来た。

「うわあ。美味しそう」

「ふふ、でしょー?上にかかってるブルーベリーソースはここのお店で育ててるやつなんだから。」

「へえ、いただきます。」

ひと口食べたらもう止まらない。美味しいのなんのって。酸っぱいブルーベリーソースと甘さ控えめのチーズケーキが絶妙で濃厚なチーズも最高だ。

「…、美味しい。」

ぼそっと呟くと志穂はとても嬉しそうに笑った。

「そうでしょう!?ゆっくりしてって。私ももう少しで休憩だから」

じゃあね、そう言って志穂はカフェから出てってしまった。


あ…、店長さんのこと聞くの忘れてた。