アルバイト事件が過ぎて、夏休みもあと半分になっていた。



葵は本当にアルバイトを止めると宣言した翌日にアルバイトを止め、


その週の日曜日には2人で遠くの葵んちの別荘へと旅行に行った。


アルバイトして貯めたお金は食事代などに使って、結局、宿泊代には使わなかった。



それから葵と私は毎日といっていいほど、お互いの家に行き来して暑い中遊んでいた。



「何かもう俺らって同棲してんのと同じだよな」


「もう同棲でしょ」



昨日から私んちに泊まってる葵の横には、大きな鞄がどっさりと存在感を露わにして、


ソファーの横に置いてあった。



同棲と言っても間違えではないほどに、私の家には葵のものが溢れている。



きっとこの大きな鞄の中には何日間分の葵の洋服が入っていて、


昨日から泊ま気満々だったことをこの大きな鞄を見て感じさせられた。



「これだけ自分の物があったら、いつでも泊まりに来れるね」


「え?いつでも泊まりに来ていいの?」


「…っ、そうとは言ってない!」



余計な事を言ったことに気付いたけど、もう後戻り出来なかった。



葵にいつでも泊まりに来ていいなんて言ったら、絶対に夜はあっち方向に流される。



それは分かってたことなのに、


ニヤリと笑う葵を見たら、今言った言葉は撤回出来ないと分かった。



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