こんなに見つめられて私が戸惑ってたら、

金槌体質を利用して悪魔になってまで葵を海に沈めて苛めてた意味が全然ない。



……すると、



葵の視線は私の顔から私の胸辺りに下りて止まった。


葵は顔全体が急に真っ赤になり、今度は私から視線を逸らして反対方向に視線を移した。



「葵?どうしたの?」



不振な動きをする葵にそう聞くと、葵は蚊の鳴き声より小さな声で呟いた。



「……ブラ、透けてんぞ」



反対を見てたと思ったら、また私の方を見て自分が着てたパーカーを私の上に被せた。



……もしかして…あたしったらブラ透け透けのまま普通に砂浜歩いてたの?

やっだぁー!恥ずかしい!

見ず知らずの人に下着見せちゃったとか、ありえなーいー!



………なんて、赤面の葵に言えるわけもなくて、私も葵につられて赤面になってしまった。



被らされたパーカーに袖を等して顔を隠すようにフードを深く被った。


こうすれば、透け透けのブラを見た人も私だって分からなくなるはず。


せめてもの、私なりのフォローだった。



なのに隣で、ベトベトしてるTシャツを脱いで上半身裸の状態の葵はフォローが下手くそで、



「まあ、そんな気にすんな。誰もそんな貧乳見ても起たねぇよ。俺は見られてムカつくけど」



本人はフォローしたつもりらしいけど、私の心はズタズタだった。



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