何で聞いちゃったんだろうと後悔した時には、葵がゆっくりと話し始めていた。
「別に隠そうと思って話さなかったわけじゃないからさ」
葵はスクールバッグから煙草を取り出して吸い始めた。
葵のスクールバッグに煙草が入ってるってことは、
今日は最初からサボることを決めててスクールバッグに煙草を入れたんだなと確信した。
私が確信して葵を睨んでる間も、葵は話を続けた。
「お前が知りたいって言うなら、話してやる」
「で、でも…」
「でも、何だよ?」
何か今になって私が聞いちゃっていいのか不安になってきた。
興味本位だけで聞いてちゃって良い内容じゃない気がしてきた。
だって…
あの"約束は絶対守る"って言ってた葵が約束を破ってまでした喧嘩。
そんな喧嘩のことを部外者の私が聞いたって―…
どうにかなるわけじゃない。
「ねえ、これから葵の家行ってもいい?」
「は?」
やっぱり聞くのは止めにしておこう。
たぶん聞いたって内容が分かるのは半分くらいだ。
私は話を続けようとしてる葵の腕を引っ張って、無理矢理ファーストフード店から出た。
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