「最初から覚悟なんかできてるよ」



これから何が起こるかなんて、葵にだって私にだって誰にだって分かんない。



もしかしたら私が葵じゃなく他の人を好きになるかもしれないし、

私を好きな気持ちは変わらないと言ってる葵だって、私じゃない他の人を好きになるかもしれない。



別れるかもしれない。

フラれるかもしれない。



だけどそうならないように、葵との時間を大切にしていきたい。



葵にもそうならないように、私との時間を大切にしてもらいたい。



だからこそ……はっきり言える。



「嫌なこと言われる覚悟だって、傷つく覚悟だって、最初からできてる」



葵が私の隣に座った。



「でも1人じゃ無理」

「俺がいる」



色素の薄い瞳で私を真っ直ぐ見つめてくる。



「なら怖いものない」



葵の手がゆっくりと私の背中にまわる。



「ずっと一緒にいる」

「あぁ」



私は葵の首に腕をまわす。



「酷いこと言われたら、その時は2人で傷つけばいい」

「あぁ」

「何かあったら、2人で立ち向かえばいい」

「あぁ」



守られてるだけじゃなくて、私も一緒に葵と立ち向かいたい。



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