突然泣き出した私を見ても驚かない葵は、まるで私が泣き出すことを予想してたみたい。



お父さんに向けられてた真剣な眼差しは私に移り、今度は私を真剣な眼差しで見てくる葵。



「お前にも初めて話すことだから」

「………」

「驚くかもしれねぇけど」

「………」

「ちゃんと聞いててほしい」

「………」

「泣くなとは言わねぇから」

「………」

「真剣に聞いててほしい」



それに私が頷くと、葵は再び真剣な眼差しをお父さんへと向けた。



さすがの玲香も真面目な話をしてるということは分かったのか、さっきまで喋ってたのに口を閉じて静かになった。



お母さんは『はい』と、私に涙を拭くためにハンカチを差し出してくれた。



私たちのテーブルだけが静かで、他のテーブルはガヤガヤしている。



だけど私は葵の声だけに神経を集中させてた。



『ちゃんと聞いててほしい』、『真面目に聞いててほしい』って、葵が今までにないくらい真剣に言うから………。



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